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プロジェクトの概要

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1. 研究の目的

 高速インターネット,超高速コンピュータシステムと大容量ストレージの持つ能力を効率よく科学技術研究の現場で活用する情報システム基盤の構築が目的である.すなわち,大域ネットワークで接続された情報システム基盤において,(1)高効率な科学技術データの分散共有,(2)広範囲の数値シミュレーションにおける超高速の計算能力の提供と,(3)科学技術データに対する分散的データベース処理(複雑データの探索,発見的データベース処理等)を実現する.

2.具体的な達成目標

 2008年の時点で,世界に先駆けて2 PFLOPSを超える計算能力を40Gbpsを超すネットワークを高効率に使用する世界最高速のネットワーク利用方式で分散共有的に結合し,科学技術研究の現場から利用可能とし,世界最高レベルの能力で蓄積された科学技術研究データの高次探索およびデータ処理を実現するとともに,システム上で実行されるアプリケーションソフトウェアを実現する.

3.内容

 大域ネットワークで接続された情報システム基盤において,(1)高効率な科学技術データの分散共有,(2)分散透明性を持ち,超高速の計算能力の提供と,(3)科学技術データに対す分散的データベース処理(複雑データの探索,発見的データベース処理等)を実現する.ネットワーク接続技術に並列IPストレージを用いたデータレゼボワール技術を拡張したものを用い,超高速計算とデータベース処理は,Grape-6で培われた高速シミュレーション技術を,パイプライン化した共有メモリで相互接続する超並列チッププロセッサ・アーキテクチャで再構成することにより,広い範囲の数値計算への汎用性と,検索・グラフマッチング能力を持つものを用いる.

4.最終システムのイメージ

 GRAPE-DRシステムは,分散的に配置されたGRAPE-DRクラスタを100Gbpsから400Gbpsレベルのバンド幅を持つIPv4/IPv6デュアルスタックの超高速インターネットで相互結合されたシステムである.各GRAPE-DRクラスタはGRAPE-DR超並列チッププロセッサをI/Oカード上に搭載し,それを備えたPCが32から64台が相互接続されたクラスタ計算機で,全体で50から400テラバイトのストレージを備える.そのシステム上に,分散型データ共有システム,超高速ネットワーク管理・制御システム,GRAPE-DRコンパイラおよびオペレーティングシステム,GUI,Webインタフェースなどのソフトウェアを実装する.
 上記システム基盤の上で,(1) 重力多体系シミュレーション,(2) グリッドレス流体力学シミュレーション、(3) 分子動力学、 (4) 境界要素法計算、 (5) 超高速質量分析データ探索, (6) ゲノム高次構造探索等のアプリケーションを実現する。勿論,GRAPE-DRシステムは汎用の分散共有型システムであり,広いレンジのアプリケーションにおいて超高速性を発揮し,特に粒子系のシミュレーションに関しては,研究期間終了時に世界最高速であると予測している.

5.分担

(1) 超高速分散型研究データ共有システムの研究開発

 超高速分散型研究データ共有システムを構築し,実際の超高速国際ネットワークを用いて実証実験を実施するとともに,高効率な超高速ネットワーク通信を実現するための自律的バンド幅制御方式および,IPv4/IPv6デュアルスタックのルーティングによる科学技術データ転送に適したネットワーク制御方式を研究開発する.このサブテーマの研究開発実施では,東京大学がとりまとめと,超高速分散共有研究データ共有システム構築,通信総合研究所がIPv4/IPv6デュアルスタックを用いた科学技術データ転送向けネットワーク制御方式および自律的バンド幅制御方式の研究開発,NTTコミュニケーションズが国際通信によるシステムの実証実験を担当する.また,NTTコミュニケーションズは,最終システムを用いたサービスの商用化およびサポートを担当する予定である.

(2) 超高速データ処理エンジンの研究開発

 システムの計算とデータ処理を担当する超並列チッププロセッサ,GRAPE-DRの研究開発,GRAPE-DRを用いたプロセッサカードの開発,GRAPE-DRのクラスタ計算機への実装および,コンパイラ,オペレーティングシステムの研究開発を担当する.本サブテーマの研究開発に参加する

(3) 観測・実験・シミュレーションソフトウェアの研究開発

 開発するシステム上で実行するためのアプリケーションソフトウェアの研究開発と,重要応用分野へのGRAPE-DR適用技術の開発を担当する.研究開発期間中に実装する重要応用分野として,(1)多体シミュレーション,天文観測データベース,分子動力学シミュレーション,ゲノムシーケンス解析,境界要素法による構造解析,質量分析データ用探索型データベースおよび遺伝子探索問題を選んだ.このサブテーマの研究開発実施では,国立天文台がとりまとめと多体シミュレーション,天文観測データベース,理化学研究所が分子動力学シミュレーション,境界要素法とゲノムシーケンス解析,東京大学が質量分析データ用探索型データベースおよび遺伝子探索問題を担当する.

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(C) GRAPE-DR Project